『入門・科学技術と社会』発売
分担執筆で参加させていただいた『入門・科学技術と社会』がナカニシヤ出版から発売されました。2021年の12月にお声がけをいただいて、2022年3月にキックオフミーティング、 同年7月に初稿を提出という流れで取り組んで参りましたので、期間でいうと約3年がかりでようやく完成ということになりました。
この3年で構想の段階から細やかな表現に至るまで、編著の見上先生には懇切丁寧にご指導をいただきました。私が担当しました第2章「人工物の政治性」はLangdon WinnerのDo Artefacts Have Politics?論文を中心とした議論が中心になっていますが、関連して話を広げていきました。初稿から最終稿に至るまでの過程で、的確なご助言をいただいたことによって、どう要点を短くわかりやすく整理していって、議論を展開し、収束させていくのか、勉強になりましたし、出版社の方からいただいたコメントは特に読者の視点に寄り添ったものであり、とても良い経験をさせていただきました。
どうぞお手に取ってご覧ください。
書誌情報はこちらからご確認いただけます。
出版の背景と目的
「科学技術と社会」をめぐる議論の界面において、多様に表出する論点を考察するためには、科学技術を対象としてきた人文・社会科学的な研究の蓄積は多くの示唆を知る必要があります。本書は、先端科学技術のELSIやその背景を学び、考える上で必要となる基礎的な情報や視点の理解を共有することを目的とします。
第1章 科学者の社会的責任
河村 賢
大阪経済大学国際共創学部・講師
専門はエスノメソドロジー・科学論。
第2章 人工物の政治性
牧口奏江
東京大学大学院総合文化研究科・博士課程
専門は技術者倫理。
第3章 アクターネットワーク理論
森下 翔
山梨県立大学地域人材養成センター・特任助教
専門は文化人類学・科学論。
第4章 状況に置かれた知
髙江可奈子
早稲田大学社会科学総合学術院先端社会科学研究所・助手
専門は規範倫理学・応用倫理学。
第5章 期待と想像の行為遂行性
見上公一
慶應義塾大学理工学部外国語総合教育教室・准教授
専門は科学技術社会論。生命医科学を中心に、多様なステークホルダーが描く研究の未来像が実際の研究活動にどのようにつながっていくのかという問いを軸に研究を行うほか、科学と社会のより良い関係の実現を目指した科学技術ガバナンスにも取り組んでいる。
第6章 無知学/アグノトロジー
鶴田想人
大阪大学社会技術共創研究センター・特任研究員
専門は科学史・科学論。
第7章 科学コミュニケーション
原 健一
金沢工業大学基礎教育部修学基礎教育課程・講師
専門は近現代フランス哲学。
第8章 専門家の助言
加納寛之
科学技術振興機構研究開発戦略センター・フェロー
専門は科学哲学・科学技術社会論。
第9章 デュアルユース
小林知恵
広島大学大学院人間社会科学研究科・特任助教
専門はメタ倫理学・応用倫理学。
第10章 ELSI/RRI
菅原裕輝
大阪大学大学院人文学研究科・特任助教
専門は科学哲学・科学技術社会論。
第11章 テクノロジーアセスメントとリスク
西 千尋
同志社大学学習支援・教育開発センター・助教
専門は科学技術社会論。
第12章 市民科学とオープンサイエンス
桜木真理子
札幌医科大学医療人育成センター・講師
専門は文化人類学、医療人類学、科学技術社会論。
第13章 マルチスピーシーズ民族誌
吉田真理子
広島大学大学院人間社会科学研究科・助教
専門は文化人類学、ブルーヒューマニティーズ、水産ドメスティケーション。
第14章 人工知能とビッグデータ
鹿野祐介
大阪大学COデザインセンター・特任助教
専門は哲学/概念工学。
第15章 自律型システム
筒井晴香
実践女子大学人間社会学部社会デザイン学科・准教授
専門は哲学、応用倫理学、ジェンダー研究。
第16章 量子技術
長門裕介
大阪大学社会技術共創研究センター・特任助教
専門は規範倫理学・社会哲学。
第17章 宇宙開発
清水雄也
京都大学宇宙総合学研究ユニット・特定助教
専門は科学哲学・応用倫理学。
第18章 細胞工学
古俣めぐみ
岡山大学学術研究院ヘルスシステム総合科学学域・助教
専門は科学史・生命倫理。
第19章 合成生物学
武田浩平
大阪大学COデザインセンター・特任助教
専門は行動生態学、動物行動学、科学技術コミュニケーション論。
第20章 脳神経科学
石田 柊
広島大学大学院人間社会科学研究科・助教
専門は規範倫理学・応用倫理学。
第21章 気候工学
見上公一
慶應義塾大学理工学部外国語総合教育教室・准教授
専門は科学技術社会論。生命医科学を中心に、多様なステークホルダーが描く研究の未来像が実際の研究活動にどのようにつながっていくのかという問いを軸に研究を行うほか、科学と社会のより良い関係の実現を目指した科学技術ガバナンスにも取り組んでいる。
第22章 災禍
標葉隆馬
大阪大学社会技術共創研究センター・准教授
専門は科学社会学・科学技術政策論。科学技術の倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の可視化、メディア分析、コミュニケーションデザイン、政策分析などを組み合わせながら、責任ある研究・イノベーション(RRI)に関わるさまざまなプロジェクトを幅広く研究・実践中。